安藤サクラが朝ドラ『まんぷく』で得た2つの教訓とは!?
スタート時から常に好評だったNHKの朝の看板『まんぷく』(大阪制作)。そのドラマの主演を務めた安藤サクラは賞賛に値するのは確かですが、果たして半年という長丁場ではどうだったのでしょうか?
ここでは彼女の演技的な面と、今後の展望を見てみましょう!
本来は朝ドラは新人女優の登竜門なのだが…
もともと、朝ドラのヒロインはデビュー間もない新人女優の“スターへのパスポート”的な位置にあったのは周知の事実です。平成になってからでも、山口智子や藤田朋子、須藤理彩、戸田菜穂、土屋太凰、永野芽郁等々、現在でも活躍する女優さん達がキラ星のように輝いています。
では朝ドラ第99作『まんぷく』のヒロイン・安藤サクラはというと…。実際には“登竜門”だと騒がれる存在ではないのはご存知ですよね。もう既に「できあがっている」と言ってもいいくらいの実績と実力を持っているんですよ。
1986年生まれで、東京で育った彼女は映画『風の外側』(2007年)でデビューしました。父は俳優・映画監督の奥田瑛二、母はエッセイストの安藤和津、姉は映画監督の安藤モモ子といわば芸能一家で育った彼女は“映画”を自然な日常として育ったのでしょう。
デビュー以降も数々の映画、TVドラマに出演していき、2014年に撮った映画『百円の恋』では翌年の日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。その活躍ぶりは国内だけにとどまらず2018年には『万引き家族』でカンヌ国際映画祭でパルムドールを獲得しています!
ちなみに夫は俳優の柄本 佑(柄本 明、角替和枝の長男)、義弟には夫婦役での共演もある柄本時生と、夫側も芸能一家なので仕事に対する理解という点では非常に恵まれていると言えますが…。
そんな彼女に転機が訪れたのが『まんぷく』の出演オファーでした。もともと、朝ドラのヒロインには思い入れが強かったらしく、何度もオーディションに落ちていました。主役ではありませんが『おひさま』(2011年、ヒロインは井上真央)では出演も果たしています。
けれども、その当時とは女優としての立ち位置が違いすぎます。カンヌでも認められたのですから、「今さら」と思ったのは筆者だけではないでしょう。
周囲の演技に惑わされずに、いつもの名演技を!
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しかし、女優としての性(さが)なのか迷った挙句にこのオファーを受諾しました。そもそも出演を渋った理由が「子育てとの両立が難しい」からで、今さらの格の違いなどは彼女には関心はなかったのです。
この子育て問題はNHK側の配慮と家族の協力でなんとかなりそうでしたが、やはり大きかったのは「演りたいと思った役をやる」という根っからの女優魂だと思います。加えて先日お亡くなりになった、姑の角替和枝の「朝ドラをやらないのなら、女優も事務所も辞めなさい!」という後押しがあったからだと言われています。
こうして念願の朝ドラのヒロイン役を演じることになったわけですが、これには危惧する点もありました。
それは、せっかく磨かれてきた彼女の演技が錆び付いてしまうのでは、という危惧です。特に序盤の“女学校時代からの友人”と絡むシーンが学芸会みたいで稚拙に見えてしまったのです。ハナちゃん(呉城久美)と敏子ちゃん(松井玲奈)と3人で屋台のラーメン屋に行くシーンなどは如実に現れていました。
つまり「朱に交われば…」ではありませんが、安藤サクラの演技もレベルダウンして見えてしまったのです。別に呉城・松井両人が下手というわけではありません。安藤サクラと並んでしまうと全体的に「ちょっと」という感じが見えてしまうのでした。
ただ、この問題は中盤以降は自然と解消されていったようです。朝ドラの雰囲気に慣れたことと、ベテラン陣に脇を絞められて彼女の演技も際立ってきたのでした。とにかく、「良かった」ですよ。
細かく言うと、長谷川博己をはじめ、松坂慶子、要 潤、桐谷健太らの芝居巧者なレギュラーに囲まれたうえに、片岡愛之助、菅田将暉、加藤雅也ら要所要所で出てくるゲストに共生してこその安藤サクラだということなのはないでしょうか。
今後は、主役の場合はいかにして輝きを失わないで保っていられるか。脇の場合は「主役を喰う」くらいのモチベーションが生まれてくるのか、が課題となってくるでしょう。
老け役にも冴えを見せてほしいっ!
今回の朝ドラ『まんぷく』では、子役時代は描かずにいきなりOL(ホテル・ウーマン)時代から晩年を通しで演じていました。
ここで2点めに気になったのは、実年齢を超えてしばらくしたあたりからです。おりしも、「満腹ラーメン」が軌道にのって8年が経過した設定に「飛んだ」頃です。時代は1970年の大阪万博の頃です。
この時は年月を経ているので、当然、安藤サクラも老け役に突入。しかし、どうにも似合っていないのです。
時代が時代ですから“美魔女”なんてありえないとしても、もう少し「綺麗なおばさま」にはなれないのかなぁ、と終盤はいつも思いながら見ていました。
大阪版「サザエさん」を意識していたのかな? それにしては、ギャグを飛ばすわけでもなく、“どっちつかず”な雰囲気でした。これは脚本と演出がそうさせていただけで、彼女には罪はないのですが勿体ないですよね。
「老け役」に切れ味を加えた時こそ、“朝ドラを演ってよかった”と思えるのではないでしょうか。
いずれにせよ、安藤サクラは朝ドラ『まんぷく』に出たおかげで「常にレベルアップした舞台を意識すること」と「老け役にも味を!」という2点に視聴者ともども気づいたはずです。
この問題に気づいただけでも、「やっぱり、やってよかった!」と思えているのかも知れませんね!
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